Enevoで走行距離もCO2排出量も削減できました。センサーは後から付けられて工事不要、しかも頑丈なのがEnevoのメリットです

NTT西日本様は、京都府と舞鶴市にて廃棄物回収の効率化とリサイクル促進を目指した実証実験を行いました。走行距離・CO2排出量はともに20%以上削減と高い成果を得て、総務省からICT地域活性化大賞を受賞するなど大きな反響があったこちらの取り組み。その中核技術としてEnevoセンサーを活用されました。今回は導入にあたっての経緯と成果の詳細について、NTT西日本の安原様にお伺いしました。
コロナ禍ということもあり、Web会議でご参加いただきました。

[お話を伺った方]
NTT西日本 ビジネスデザイン部 主査 安原 克彦様

京都府との廃棄物処理に関する実証実験でEnevoセンサーを活用

安原様 私が所属しているビジネスデザイン部は、会社の強みを活して新しいビジネスを立ち上げることを目的としています。
京都府様では産業廃棄物収集におけるドライバー不足等に関連したコストの低減化と、廃棄物の3R、CO2排出量削減をはじめとした環境問題全般について取り組まれています。廃棄物収集自体が環境問題に関わる分野ですが、そのプロセスにおいても、ICTやセンサーを活用することで、より環境に優しいものにできないか、というところを起点として今回の実証実験がスタートしました。

Enevoを選んだ理由は“様々な場所に後からつけられて工事不要な点”

安原様 他のセンサーも評価しましたが、既に製品化されており実証実験にむけて新しく作らずに、そのまま活用できるというところでEnevoに注目しました。
廃棄物置き場やコンテナは会社や土地によって形状が全く異なります。後からセンサーを取り付けるだけで計測が開始できるというのは、様々な企業様に導入できるということに繋がり大きなメリットとなりました。
また、配線を考える必要がない部分も扱いやすかったです。電源やネット回線が内蔵されているため、排出事業者様の環境に影響を与えることなく取り付け・取り外しができるというのも導入にあたっては大きいポイントでした。
導入して計測したデータを簡単に見られるというのも、評価した点です。
電波調査も工事もいらず、そうしたワンパッケージが既製品として存在していたというところが、他センサーと比較しても非常に扱いやすかったのは間違いないですね。

導入トラブルもなく排出事業者の環境に影響を与えない

NTT西日本 安原様・弊社代表 高澤
NTT西日本 安原様と弊社 高澤がオンラインで繋ぎ、お話を伺いました。

安原様 排出事業者様には一定期間Enevoセンサーを設置いただきました。検証期間中に特にトラブルが発生しなかったのは非常に評価しています。
導入時においては様々な排出事業者様を回りました。私も気付かされたところではあったのですが、皆さん工場の設備など、事業所内の既存環境への影響がないかというのをとても気にされるんですね。Enevoセンサーは携帯と同じ3G回線ですから、そうした点でもお話を進めやすかったです。

弊社・高澤 逆に導入にあたって苦労されたポイントはありますか?

安原様 センサーは上から計測する形になっていますから、天井がない場合や非常に高かった場合は工夫が必要でした。
しかし設置ができるところについては、工事業者などは必要なく、私たちや現地の方々とで、すんなりと設置できるという点は良かったかなと思います。

ラフな扱いでも全く問題ない頑丈さ

安原様 また、廃棄物を入れる容器には物が投げ込まれることも多く、その際の故障の心配も当初はありました。しかし実際に現場でモノを投げて当ててみる、ということをしてみて「全然大丈夫だよね」という形でその場ですぐに証明できたのはわかりやすかったですね。
あとは磁石で設置のため、落下を不安に思われる事業者様もいらっしゃいましたが、実際に触っていただいて、これなら大丈夫だよねという話をさせていただきました。

走行距離の削減がコスト削減にも環境問題の解決にもつながる

安原様 堆積情報は主に収集業者様がご覧になっていました。舞鶴市では一般廃棄物分野であるペットボトル、プラスチック容器包装類などで、公共施設やスーパー等へ導入しました。小型家電の収集も計測しました。これら一般廃棄物はの担当者の方が主に見られていました。
特に小型家電の収集では、定期的に堆積量に関わらず全ての容器を回って回収していましたが、センサーで堆積量を測定できることによって、大半の拠点が立ち寄り不要になりました。このように導入によって行かなくて良いところは行かずに済む、というところで大きな効果が出ています。
行政にとってはこうした取り組みで、リサイクルが進み、環境貢献とCO2削減につながるという点が大きいと思います。収集事業者様にとっては収集コストの削減とドライバー不足を課題としてお持ちです。走行距離を下げるということはこの両者の解決につながります。

舞鶴市ではペットボトル用・プラスチック容器包装類の回収ボックス内部にセンサーを設置
舞鶴市ではペットボトル用・プラスチック容器包装類の回収ボックス内部にセンサーを設置して計測

回収コストは産業廃棄物で20%、一般廃棄物で40%削減

安原様 実証実験の結果、回収コストは産業廃棄物で20%、一般廃棄物では約40%削減となりました。この結果の差は排出物の出方や性質によるものもあるかと思います。

現場の作業時間でも削減効果が現れる

安原様 行かなくてよいところに行かないということは、走行距離だけでなく、マニフェストの作成回数や積み込み時間が減る効果もございます。そういった付帯業務の削減につながっていると思います。

二酸化炭素排出量は20%削減

安原様 立命館大学のご協力を得て計算しました。センサー製造にかかったエネルギーコストなども含めて算出した結果、産業廃棄物で約20%のCO2削減につながることがわかりました。この仕組みが走行距離の削減、そして環境問題への貢献が実現できるということは証明できたのではないでしょうか。

NTT西日本 安原様

継続的な地域社会の循環システム構築に活かす

実証実験後の大きな反響

安原様 環境問題への取り組み、環境コンサル系企業様や、廃棄物以外でも計測できないか、うちの環境でも測れるのか、等、非常に大きな反響がありました。
※ 総務省からICT地域活性化大賞なども受賞されています

ICTやセンサーで地域社会の循環システムを叶える

安原様 廃棄物というのはなかなか減りません。地域の社会課題の解決はNTT西日本が持つミッションのひとつです。
今回の実験を通じて、地域のドライバー不足やCO2排出課題の深刻さを改めて認識できました。ICTやセンサーを活用し、地域の循環の仕組みを止めないための取り組みは、NTT西日本として非常に意義があると思います。今後も長期で取り組んでいかなければならない領域と考えています。

参考:
ICT技術を活用した廃棄物処理効率化による資源循環の構築|ICT地域活性化ポータル|総務省

NTT西日本ロゴ

社名 西日本電信電話株式会社
事業概要 電気通信業務、付帯業務・目的達成業務
設立 1999年
従業員数 3,300人
URL https://www.ntt-west.co.jp/

※掲載されている情報は2020年6月時点のものです。